島忠TOBで学ぶ旧村上ファンドの目の付け所

個別株式

島忠TOBの概要

買付者 :DCMホールディングス株式会社

買付価格:普通株式1株につき4,200 円

買付期間:2020 年 10 月5日(月曜日)から 2020 年 11 月 16 日(月曜日)まで(30 営業日)

買付予定株式数:買付予定数 38,955,287株
下限:19,477,700株(50.00%) 上限:なし
TOPIX連動ETFを含め、およそ25%程度が原則としてTOBへの応募を行わないパッシブ・インデックス運用ファンドにより保有されていると試算されている為、買い付け下限を66.67%とすると8.33%の株主が応募しなければTOBが不成立となってしまい、総意が正しく反映されない可能性があるため、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を満たす19,477,700株(50.00%)が設定された。

第三者算定機関 SMBC日興証券(DCM側)による株式価値の算定
市場株価法①: 2,849円~2,945円 (算出期間:9月18日までの1,3,6カ月) 報道前
市場株価法②: 2,894円~3,047円 (算出期間:直近1,3,6カ月)      報道後
類似上場会社比較法: 2,894円~3,686円
DCF法: 3,166円~4,837円    (算出期間:2020/8 ~ 2025/8)
前年度比で大幅な増減益を見込んでいる事業年度は無し
フェアネスオピニオン無し

第三者算定機関 プルータス(島忠側)による株式価値の算定 (固定報酬)
市場株価法 :2,849円~2,945円 (算出期間:9月18日までの直近1,3,6カ月)
類似上場会社比較法: 2,670円~2,995円 (DCM、ジョイフル本田、コメリ、コーナン等)
DCF法       :3,371円~4,219円 (算出期間:2020/8 ~ 2025/8)
フェアネスオピニオン有り

第三者算定機関 野村證券(島忠側)による株式価値の算定 (成功報酬)
市場株価法①: 2,849円~2,945円 (算出期間:9月18日までの直近5日,1,3,6カ月) 報道前
市場株価法②: 2,894円~3,590円 (算出期間:直近5日,1,3,6カ月)      報道後
類似上場会社比較法: 2,217円~3,311円
DCF法: 3,350円~4,383円    (算出期間:2020/8 ~ 2025/8)
前年度比で大幅な増減益を見込んでいる事業年度は無し
フェアネスオピニオン無し

株主構成は以下の通り

日本トラスティ・サービス信託銀行   :8.24%
NORTHERNTRUSTCO.(AVFC)     :6.17%
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)
日本トラスティ・サービス信託銀行   :5.26%
日本マスタートラスト信託銀行     :5.08%
アイリスオーヤマ :4.71%
INTERACTIVE BROKERS LLC       :3.87%
(常任代理人 インタラクティブ・ブローカーズ証券)
NORTHERNTRUSTCO.(AVFC)    :3.27%
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)
埼玉りそな銀行           :3.16%
DFA INTL SMALL CAPVALUE PORTFOLIO :2.53%
(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)
NORTHERNTRUSTCO.(AVFC)     :2.43%
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)

大株主に常任代理人~との記載が多さが目立つ。これはカストディアンといって、投資家が海外の有価証券を購入する際に利用する金融機関の事で、カストディアンの背後には当然、元の出資者が存在する。大株主として名前を載せたくない場合等にも使用されるようだ。要するに様々なファンドから目を付けられていたと考えられる。

2020/10/20 ニトリによる買収観測

10月20日引け後、ニトリHDによる島忠買収の検討に関する記事が日経新聞から報道され、翌日には急騰し、一時4,870円(16.2%高)を付けた。一方で、ニトリ、島忠ともに現時点で決定している事実は存在しない旨の適時開示を行っている事から、所謂飛ばし記事であることが伺える。

またリーク記事の公表後の値動きを確認すると、わずか3日間で6,909,400株もの取引高が有った他、株価5,000円を試した後下落している為、相当な売り圧力が有ったことも伺える。以上の事柄を総合的に考えると、シティインデックスが保有する3,571,500株を売り抜けるには十分な出来高が有ったと考えられ、TOB価格引き上げの思惑をチラつかせ高値に吊り上げ、短期で利鞘を稼ぐ旧村上系による仕掛けだった可能性もある。後日変更報告書が提出されるかも?

過去に何件もナイストレードを行った村上ファンドなので、今回も?と勘ぐってしまう。
詳しくは下記リンクをご覧ください。

2020/10/21 シティインデックスイレブンスによる大量保有報告書提出

10月21日引け後、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスによる大量保有報告書及び変更報告書が提出された。

報告書によると9月9日から市場内での買付が始まり、10月7日以降で購入株数が急増した。報告書の提出期限である ”5%以上を保有後5営業日以内” までに可能な限り買い集めた形だ。
保有目的は、”投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと”とされている。
取得資金145.5億円は、旧村上系リビルド、オフィスサポートからの借り入れとなっている。

ところで、旧村上系レノのホームページ上にこの件に関する興味深いお知らせが公開されていたのでこれを紹介する。

・島忠は多数の不動産を所有し、不動産所有会社としての側面を有すること
・シティインデックスは株主として不動産処分、自社株買い等の株主価値向上策を提案して来たこと
・島忠がDCM以外の買い手を募り、株主価値の最大化を模索した形跡が無い点についての疑問
・DCMに対しては事業を売却、不動産は分けて処分することで、島忠株主、DCM、DCM株主それぞれに経済合理性が生まれること
・一旦売りに出された島忠は、買い手を広く募り、ベストプライスを追求する他ないこと

島忠は不動産所有会社としての側面を有するとの記載について損益計算書を確認すると、営業利益の7割が不動産賃貸収入であることがわかる。シティインデックスはまずこの点に着目したのかもしれない。

島忠の保有する賃貸用不動産を有価証券報告書などから探したが、見つけ出すことはできなかった。その代わりに、賃貸等不動産の時価及び損益に関する記載が確認できた。

更に2019年8月期の決算短信によると、20年度の不動産賃貸収入は6,407百万円であるので、計上されていない賃貸収益はおよそ2,023百万円程度存在すると推測される。

株主価値向上について

旧村上ファンド系が島忠に関して始めて大量保有報告書を提出したのは2019年10月10日となっており、保有目的は今回と同じく”投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと”とされていた。一般に公開される形での株主提案はなかったが、独自に提案を行っていたのかもしれない。

シティインデックスはアークランドサカモトによるLIXILビバ買収の例に取り上げ、島忠の買収案件では複数の買い手候補に対してのオークションの参加が打診されなかった事に対して、株主価値の最大化が行われなかった事を指摘している。また、DCMはホームセンター事業のみの取得を希望していると推測され、TOB後に会社分割や事業譲渡により譲り受けた方が資金効率が良いとの主張も行っている。

まとめると下記の2点
・DCM以外の買い手を募集しなかった理由
・何故不動産売却による株主価値の向上を目指さなかったのか
について説明を要求するととともに面談を要請していた。

まとめ

今回取り上げた例では、

・利益構造を把握する必要性
・複数の買い手候補にオークションへの参加の打診の有無
・不動産売却等による株主価値の向上を目指さない理由

旧村上ファンド系は以上の点について着目している事が分かった。

最後に感想というか独り言

日本のTOBにおいてあまり取得されることのないフェアネスオピニオンを取得している事やマジョリティオブマイノリティ条件が設定されていることからも分かるが、今回の買収価格は客観的に評価しても本来価値と比べ割安という訳でも無く、少数株主にとって不公平な案件では無いと思われる。
また、シティインデックスが本来価値と比べ割安との主張を行うのなら、シティインデックスが試算した価値を、算出過程とともに公表して頂きたいものだ。
そして”DCMとしては多数の不動産を取得したいという事ではなく、事業を取得したいと推測される”と島忠宛の書簡に有ったが、DCMに対して質問を行い、その答えを踏まえての推測であるのか否かについて気になった。DCMはデューデリジェンスの過程で島忠所有の不動産についても当然把握していると考えられ、不動産を含め1株当たり4,200円を提示した訳なので、本当はDCMとしては不動産の売却を望んでいないのかもしれないのでは?とも思った。そもそも、本当に安いと思うのならば更に高値でのTOBを仕掛ければ良いではないかと感じた。

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